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姫マツタケとは
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Q.姫マツタケとアガリクス茸は同じキノコなのですか?それとも別のキノコなのですか?

姿形は違いますが、起源的には姫マツタケとアガリクス茸は同根で同一のものです。この問題は、このキノコの正確なルーツすなわち姫マツタケ・アガリクス茸の「命名の由来」と「わが国への伝来の由緒」を知ることで、解明されます。

■アガリクス茸は、文献上は1877年出版の【ブラジルの植物】というブラジルで刊行された本に「アガリクス・ブラゼイ」という名の薬用キノコとして登場しているそうです。Agaricusはラテン語で「キノコ」のことなので、直訳すれば「アガリクス・ブラゼイ」は「ブラジルのキノコ」という意味になります。

■その後1944年に、Blaze氏が米国フロリダの芝地で発見し、翌45年にMurrill氏により命名され、1967年にHeinema博士により、「Agaricus Blazei Murril」という学名のキノコであることが固定されました。

■このアガリクス茸・姫マツタケは、ブラジルのサンパウロ市郊外のピエダーテ盆地(一説にはアガリクスの自生地は「ギ−ハ高原」とも言われます)でたくさん見つけられ、しかもご当地では生食の習慣があったので、アガリクス茸・姫マツタケはブラジルが原産、原生地ということで世界に伝わりました。

■ 1965年今も語り継がれている米国W.J.シンデン博士とE.D.ランバ−ト博士らによる、現地人が「Cogmelo do Sol 神のキノコ」と呼んで常食にしているキノコ(アガリクス茸・姫マツタケのこと)に関する現地疫学調査発表がなされました。

■かのキノコはこの1965年、名前も判明していないまま、日本に持ち込まれました。そして、1975年に至って岩出菌学研究所がわが国で初めて人工栽培を成功させました。その後1982年、岩出亥之助博士が、正式な学名を「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」、学術和名(=日本名)を「カワリハラタケ」(ハラタケの新種の意味)おまけに実用名(通称名?)を「姫マツタケ岩出101種」とも呼ぶように決めました(『日本菌学会誌』23巻4号、544〜546。1982年)。その後、日本菌学会でも認められ『原色日本菌類図鑑(1)』(1987年、保育社)に収載されました。これがその後の混迷と相克の遠因となりました。

■その頃アガリクス茸・姫マツタケは我が国では名なしのキノコだったのです。しかし目敏く86年「姫マツタケ」という商品名でN社が商標登録をしてしまいました。これが、その後、一企業の商品名:姫マツタケが「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」の和名であるかのような印象を与える混迷の原因となりました。すなわち「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」は、別種も含む通称「アガリクス」の曖昧な名称と正式学術和名「カワリハラタケ」の別称である「姫マツタケ」なる登録商品名が不統一に使用され、消費者に大きな混乱を与えるとともに研究不十分のまま「アガリクス(茸)」「姫マツタケ」なる名称の商品が流通する弊害をも招くことになったのです。

■ここに、「一企業の登録商品名=姫マツタケ」と「一キノコの学術和名=カワリハラタケ」とが混同されてしまい、この時のこれが尾を引いて今なおアガリクス茸陣営と姫マツタケ陣営との間の、非友好的な揉め事の火種になっています。

■それ以来「アガリクス茸の和名は姫マツタケだ」、「アガリクスという茸は存在しない」、「アガリクス茸と姫マツタケは別の茸だ」とまで喧伝されるような、嘆かわしい事態が今なお続いています。

■学術的には、37種類あることが確認されている「ハラタケ属」に属するキノコの総称が「アガリクス」です。日本で通称(略称)されている「アガリクス茸」の正式な学名は「Agaricus Blazei Murril」(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)であり、その正式な学術和名(=日本名)が「カワリハラタケ」と呼ばれることになっています。

■一企業の登録商品名が、わが国に限って学会の正式の学術和名すなわち日本における正式呼称であるわけがないことは、学会の常識ではないでしょうか。

■いわゆるアガリクス陣営も、正しい学名「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」、あるいは学術和名の「カワリハラタケ」という正式名を称せずに単に「アガリクス」あるいは「アガリクス茸」と省略して使う際は、それが「アガリクス・ブラゼイ・ムリルの略称である」と、断って使うべきだと思います。

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